初めての短期音楽留学

音楽留学したいけど、レッスンはどんな感じ?

みんなどうやってレッスンの先生を見つけているの?

私の場合、「この先生に習いたい!!」と思える先生に出逢うまで、音大に入った一年生から数えて紆余曲折あり、9年もかかりました・・。

日本でいろいろな先生からレッスンを受けつつ、短期留学を繰り返しながら欧米5カ国をめぐり、ようやく自分にあった先生を見つけ、その後はその先生のもとで約10年間イタリアで生活しながらレッスンを受けました。

回り道したかもしれないけど、諦めずに先生を探したことで、本当に人生を変えるくらいの素敵な先生に巡り会えました。

今回は、過去の経験を踏まえて、どうやって先生を見つけたか、どうしたら出逢うことができるのか、実際の経験談を踏まえてポイントをお伝えします!

【この記事の信頼性】

この記事を書いているのは、欧米7カ国でレッスンを受け、イタリア、ドイツ、スイス、イギリス、オーストリアで演奏経験をした元音楽学生です。

地盤、人脈、今のような使いやすいネット環境もそんなに良くない中始まった、どんな音楽生活をしたか、実体験を全てお届けします😀

【この記事でわかること】

  • 人脈をフルに使って海外留学にこぎ着けた体験【ドイツ開拓編】
  • 初めての海外レッスン体験
  • 次に繋げるマインド
目次

なんで留学したかったの?

幼少期からピアノを習い、音大を目指して頑張った高校生時代。途中で声楽に鞍替えし、なんとか東京の某私立音楽大学の声楽科に入学。

田舎者で都会生活は大変だったけど、毎日頑張っていた大学1年生。

大学生活も2年目になり、大学生活には慣れましたが、問題も抱えていました。

それは、様々な外国の課題曲が増えて、どう歌ったらいいのかわからなくなっていったのです。人生で初めて、「”音楽”がよくわからなくなってきた」のです。

初めての留学を決心したのは、この頃です。上手く歌えず、モヤモヤを抱え、このままの勉強法で果たしていいのかと自問自答をする日々のことでした。

転期は大学3年。

同じオペラコース授業を受講していた先輩がドイツに音楽留学経験があったので、気になっていました。

先輩はドイツに10年ほど留学し、演奏会などで歌える機会にも恵まれたそうで、当時の私にとっては、とても魅力的な世界に映りました。その先輩に思い切って海外の音楽事情について聞きました。

「留学に行きたいんですが、レッスンをしてくれる先生を紹介してもらえませんか?」

そこから初めての短期留学が始まりました。

ミュンヘン音楽大学の声楽科の教授を紹介してくれることになり、ホームステイ先も先輩の友人が受け入れてくれることになりました。

19歳:ドイツから音楽留学スタート!

初回留学概要

最初の留学の資金:40万円

滞在期間:2週間

【軍資金内訳】※1ユーロ:160円

  • 航空券  :16万円(当時の最安値)
  • レッスン代:約5万円
  • 携帯代  :約3万円
  • 残金   :滞在費用
  • 宿泊代  :先輩の友人宅でのホームステイのため、ほぼゼロ
  • 滞在先  :先輩の友人宅(アパートの半地下:怖かった・・)

初めての短期留学の軍資金は自分で稼いだお金で行きました。大学1年生の頃から、週4でアルバイトをしました。

夕方の5時から11時まで、居酒屋のホールのアルバイトや単発のアルバイトでコツコツとお金を貯めていました。

いつか憧れの音楽留学をしたい・・。そんな思いだけが私を動かしていました。

早速トラブル!?

そうして始まったドイツ留学は、今思い出しても苦い出来事の連続でした。

まずはホームステイ先での出来事です。

着いて早々、ホストファミリーの女主人からの一言。

私、明日からアメリカに行くから、帰ってくるまで私の恋人があなたの面倒見るから!
いつ帰ってくるの?
2週間後よ!
・・・ (ほとんどいないじゃん!)

なぜか、見知らぬ40代の男性と屋根の下で2週間暮らすことになった19歳の私。

とりあえず、乗り切るしかないと思い、割り切りました。

現地でわかった「聞いてないよ〜」

最初の三日間は、街を知るために地図を買い、ひたすら街を歩きました。

レッスンがメインですが、生活必需品の買い出し、電車やバスの乗り方など、まずは生活面を整えることをしました。

当時は、携帯電話はあってもGoogle mapがスマホで見れない時代。

大学の場所も地図で把握し、準備万端。

歌の自主練も滞在部屋で始めました。

部屋は個室で、ドイツではよくある半地下の部屋で、歌の練習もできると聞いていました。しかし、滞在先のホストファミリーの男性から言われたことは・・。

音を出していいのは朝10時から18時までだよ

洗濯機の音もうるさいから、同じ時間と決まっていました。(場所にもよると思います)

国や地域、物件によって、音楽を演奏できる時間は限られていますが、そのことは現地に行って初めて知ったことでした。

初めての海外留学でのレッスン!

先生はギリシャ人で、ミュンヘン音楽大学の学部長でした。

歌い出してほんの1ー2分後、1ページの半分も歌い終わらないうちに、先生にこう言われました。

あなたには教えることは、何もないわ

・・・そこでレッスンは終了。きっちりレッスン代も払わなければいけませんでした。

もう悔しくて、食い下がりました。

(焦り)どんな些細なことでもいいから、アドバイスはありませんか!?
・・・(手で「あっちいけ」のジェスチャー)
・・・!!

何のために120ユーロ(当時のレートで19,000円ほど)を払ったのかわからず、呆然として、どうやって帰宅したか全く記憶にありませんでした。

これが初めての留学の始まりでした。

留学のためにお金を貯めて、「2週間がこれで終わるのか・・」と思うと悔しすぎて、必ず何かを得て帰ろうと心に決めました・・。

純粋な想いで行った留学は、ほんの数日で見事に頓挫し、「なんとかしなければ!」と怒りや悔しさを原動力にもがき始めました。

帰宅して、滞在先のホストファミリーの男性にすぐ相談。

コレペティの先生を紹介してもらい、レッスンを受けることになりました。

コレペティ:音楽稽古をつけるコーチみたいな人

先生のレッスンはとても有意義で、曲の解釈を含め、とても丁寧にレッスンしてくれました。

曲の解釈や音楽表現、時代とともに変化した表現方法などは多岐にわたるなかで、「これだ!」というとっかかりを得た気持ちでした。

1日おきに、レッスンに通い、発声法は会得できなかったものの、表現方法や解釈等は私の固定観念を崩すものばかりで、日本の大学では学べないことが沢山ありました。

そして、音楽をもっと学びたいという意欲を掻き立ててくれました。

じゃあその先生がいいのか?

答えはNOです。

理由は、当初の目的が「歌い方を教えてくれる先生をどうしても探したい」だったからです。

そこで、歌唱法を教えてくれる先生がいないか、その先生に質問しました。

・カナダにだったら、いい先生がいるから、紹介できる

・他にも欧米にはいい先生がいるはずだから、今回のように自分で探してみるべきだ

これが先生からもらえたアドバイスでした。

他に行くあてもなかった私は、こうして「北米への留学」という次の扉を開くことを決めました。

留学初心者へ向けたポイント

ホームステイ先はよく確認

「人を信用しすぎない」・・・先輩の友人だから、滞在先に女性がいるから”安心”ということはない。

音を出していい曜日や時間帯などは、地域や物件によって異なるのでよく聞いておく。

レッスンの先生は一人に絞らない

今回のような先生との出逢いは、おそらくレアなパターンです。

しかし、「レッスンに行く先生は一人だけ」としないことがベターです。

また、先生がいつも健康でレッスンができる状況とも限りません。

短期留学の場合、まずは学びたいことを明確にするほどいいでしょう。

限られた滞在期間中に、複数の先生から複数回のレッスンを受けるということは、ぜひ試してみていただきたいです。現地でレッスンを受けた先生から学びたいことをズケズケと相談して、考えを交換したり、他の先生を紹介してもらうことも可能でしょう。

先生と知り合う方法ですが、日本で行われる講習会で海外から来日する先生のレッスンを受けるのがおすすめです。

日本にいる間に、講習会をいくつか受けて、どんな国のどんな先生から学ぶ方が良いか、自分に合っているのか、自分の課題は何か、をある程度把握しておくことは、留学の成果を確実にするためにも大事です。

どんな時もしぶとく

海外では日本の常識は通用しません。そして、人によって考えや対応は大きく変わります。

予想しなかったこと、ハプニングは当たり前。ピアノでは演奏法を0から全て変えられたり、発声方法を基礎から変えることになったり。日本のいくつかの有名音楽コンクールで優勝をしても、現地の音楽学校では「声がうるさい」と低い評価を受けてしまうという人もいました・・。

だから、何があっても諦めない。そして、掴んだチャンスは小さいと思われることでも、見逃さない。

この情報化社会の中で「海外に単身で勉強に行く」ということは難しいことではありません。

ただ、どんな時も”何かがある”んです。そこで起きたことにどのように対処するか、何がその時のベストなのか、をよく考える冷静さ相談などをして道を切り開く行動力が大切です。

頼れる先輩や留学経験者のメンターがいれば安心ですが、そのころは頼れるのは自分だけでした。

例え、レッスンがうまくいかなくても、音楽祭やオペラ鑑賞などを聴きに行くことも一つの学びでした。

どんな時も何かの形で前に進んでいたら、それがその時のベストだと思い、諦めませんでした。

苦い経験だったけれど、自分の中にこんな負けず嫌いな自分がいるのかという発見もあった初めての短期留学でした。

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