ニューヨークの音楽留学、私でも行ける?
アメリカ留学では、どうやって先生を見つけるの?
次なる目標は、北米留学!!
ドイツでの初めての音楽留学を終えて、次なる目標を見つけた19歳の私。
ドイツの先生から、カナダ人の歌の先生を紹介されたけど・・
どうせカナダに行くなら、アメリカにも行ってみよう!と思いたち、アメリカの先生探しを始めました。
ドイツでの様々な苦い経験を生かすことで、北米留学は私にとって「初めて一人で歩む」大きな一歩となりました。
前回の留学経験を参考に、気持ちの面でもより前向きに取り組むために、今回は3つのことを念頭において、2年近く、次の留学に向けて備えました。
・ドイツ語はカタコトだったけど、英語の方がまだ話せるから、ミスコミュニケーションが減らせる!
・先生は1から自分で探してみよう!
・金銭的にはドイツ留学で40万円かかったから、北米も大体同じ予算で行ってみよう!
2回目の短期留学を決めた時は、以前よりもはっきりと自分の計画を立てられるようになっていました。
今回は、過去の留学失敗経験を踏まえて、アメリカではどうやって先生を見つけたか、どうしたら出逢うことができるのか、実際の経験談を踏まえてポイントをお伝えします!
【この記事の信頼性】
この記事を書いているのは、欧米7カ国でレッスンを受け、イタリア、ドイツ、スイス、イギリス、オーストリアで演奏経験をした元音楽学生です。
地盤、人脈、今のような使いやすいネット環境もそんなに良くない中始まった、どんな音楽生活をしたか、実体験を全てお届けします😀
【この記事でわかること】
- 再び0からスタート!歌の先生選びから次へのステップ【北米チャレンジ編】
- 全編英語で海外レッスン体験
- 留学初心者へ向けたポイント
どうやって、アメリカで先生を見つけたの?
ドイツから帰国して、カナダ留学の準備を始めました。結果的に2年後になったのですが・・。
※ドイツ留学記事はこちらから
アメリカといえば、名門”ジュリアード音楽院”✨
私なんかがチャレンジできるレベルじゃない!とは思ったけど、
「ジュリアード音楽院を目指す学生がいる」 「ということは、きっといろんな先生がいる」
それなら、”レッスン受けるくらいならできるはず!”
ということで、インターネットで先生探しから始めました。
引き続きバイトでお金を貯めながら、帰宅後はネットで先生探し・・
朝早く、夜遅い生活だったので、正直しんどい時もありましたが、ドイツ留学での悔しさを思い出すと逆にワクワクするので、そこは気持ちを切り替えて日々過ごしていました。
1年くらい経って、ネットである情報を見つけました。
「ジュリアード音楽院を卒業し、現地でレッスンをしている先生の一覧」(当時の情報です)
2024年現在は、当時のリストは見当たらないので、ジュリアード音楽院のホームページから教官のリストをみて、教官によってはページ内の「Email Me」から直接メールできるようです。そうでない場合は、個人のホームページから個人レッスンをしているかを、リサーチする必要があります。何人かは、個人レッスンを受け付けているようです。
そこには、先生のメールアドレスが記載されていたので、片っ端から先生達に連絡をしました。
(本来なら、どんな先生なのか下調べをした方が良かったでしょうが、当時は今ほど情報社会ではなかったため、先生方の詳細はそんなに掲載されていませんでした。)
約15名程にメールを送った後、返信があったのがおよそ半数。
その中から、3名の方にレッスンをしてもらえることになりました。
ちなみに、返信があった先生でレッスンを受けられなかった理由は、距離の問題です。
ニューヨーク州以外に住んでいる先生たちで、私の滞在の日程上、ニューヨーク以外は難しかったので、必然的に先生は絞られる結果となりました。
こうして約2週間半の滞在予定の中で、ニューヨークでは3名の先生、カナダでは1名の先生のレッスンを受けることが決まりました。暗中模索した中で、ようやく留学の準備が整ったのですが、この時、21歳になっていました。
ついに21歳で北米に挑戦!〜アメリカ・カナダ音楽留学
留学の資金:48万円(※ドイツよりレッスン回数が増えるので、前回より多め)
滞在期間:2週間半
経路:ニューヨーク → カナダ
【軍資金内訳】※1ドル:117円
- 航空券 :20万円(当時の最安値)
- レッスン代:約10万円
- 携帯代 :約2万円
- 残金 :滞在費用
- 宿泊代 :1000ドル
- 滞在先 :安全そうな安宿+友人宅(3日間)
北米留学の軍資金は自分で稼いだお金に加え、親からの援助で行きました。
平日は居酒屋のアルバイトを週3〜4で17時〜23時、土日は全日の単発アルバイトでコツコツ貯めました。
日常生活では、音大まで片道2時間半の通学時間に加え、英語力を伸ばすことも欠かさないようにしました。
具体的には、他大学の外国人留学生と友達になれる、外国人留学生にインターンシップの機会を提供する団体で、留学生のサポートをするサークルに所属しました。
サポート役として毎日メール、そして休日にはお寺や観光地巡りの案内をして、英語力を鍛えるようにしました。
※当時は、主にメールでのやり取りがメイン
今回のトラブルは!?
こうして始まった北米留学は、私にとって、その後の海外生活の基礎を築くベースになりました。
旅行にはトラブルはつきものと言いますが、留学においても同様です。
今回は、ニューヨークのホテルにチェックイン後、日中地下鉄を利用した際の出来事。
人通りの多い地下鉄の階段を登っていると、黒人のカップルが仲良さそうに階段を降りてきました。
すると、すれ違いざまにカップルの男性が”殴るジェスチャー”をしてきて、拳を私の目の前に突きつけてきました。
驚くとともに、突然の出来事に状況がよく飲み込めない私を尻目に、カップルは爆笑しながら階段を降りて行きました。
「海外っていろんな人がいる」という免疫をつけるしかありません。
レッスン前に備えたことは?
そんな怖い思いはありましたが、レッスン日が近づくにつれ、ワクワクした気持ちが高まっていきました。
前回と違うのは誰にも頼れる状況じゃないからこそ、自由な発想でものを考え、見て、体験しようという気持ちでした。
レッスンのための声出しをする場所も確保できなかったので、レッスン前は体調管理に努めました。
- しっかりと休む
- しっかりと食べる
- 安全対策はしっかりと、適応する時間を取る
特にこの3つを重要視し、レッスンにだけに集中するようにイメージトレーニングをし、体を整えました。
1. しっかりと休む
当たり前ですが、時差ボケを解消する、旅の疲れを取ることはとても大事です。自分に合った対策を見つけないといけませんが、出発前からの入眠時間と起床時間のコントロール、眠くても朝に10分以上は朝日を浴びて体内時計をリセットするなどが対策です。夜に暖かくて白い食べ物(ニューヨークならクラムチャウダーなど)を取ると安心して休めるという人もいます。
寝る前などにメンタルを整えて、緊張をコントロールする方法は持っておいて損はないと思いますし、睡眠の質を上げる方法を身につけておくことは、普段の生活の質の向上にも役立ちます。
2. しっかりと食べる
食べ物は、日本でもお馴染みのサブウェイのサンドイッチ(アメリカンのハーフサイズ)を食べ、野菜とタンパク質のバランスを考え、水分を多く摂るように心がけました。この食事が栄養を取れて、かつ安くて、一番効率が良かったです。
3. 安全対策はしっかりと、適応する時間を取る
安全なエリアで寝泊まりをしましたが、それでも地下鉄では怖い思いをしました。慣れない土地で、暗い時間に出歩くなどは避けた方が良いです。
過覚醒になって、到着してすぐに声出しやレッスンをする、というよりは、体を休めて適応する時間を設けてレッスンを受ける必要はあると思います。
今では多くのピアノスタジオがありますので、レッスン前は声出しをしたり、準備をすることをお勧めします。
というのも、地域や国が変わると、そこの空気感でピアノの音色が変わります。
レッスン前でも、レッスン中でも「この国の、この地域の音はどんな音だろう」と掘り下げることも面白いと思います。
開催されていれば、オペラ観劇やコンサートに行くのも良いですね。
自分がいつも聴いている音色の世界とは、また別の世界がきっとあるので、ぜひレッスン以外の所でも楽しみを持って留学をすることをお勧めします。
いざ!ニューヨークで声楽レッスン
今回は、2日に分けて、アメリカ人の先生3人のレッスンが入るように予定を組みました。
レッスン代は、1回80ドル〜100ドルでした。
(今思うと、日本の先生より安かったです。今の料金は、個別に問い合わせないといけません)
一人目の先生は、男性の先生でした。
落ち着いた雰囲気の先生で、丁寧に発声から教えてくれましたが、日本でも習ったことがある歌唱法だったため、私の中ではそれ以上レッスンを受けたい気持ちにはなりませんした。
具体的には、口をすぼめる歌い方なのですが、音がこもったようになり、歌いづらいので、それ以上のレッスンは申し込みませんでした。
二人目の先生は、50代の女性で、ご自宅でのレッスンでした。
先生宅に訪問すると、前日に階段から落ちて足を骨折したそうで、足と首にギプスをしながら松葉杖で出てこられました。
この階段、結構急ですけど、痛み大丈夫ですか? まだ滞在しているので、レッスンは一度キャンセルで様子をみませんか?
日本からせっかく来たんだから、私の事情でレッスンをダメにしちゃだめ!
ドイツ留学の時と違い、自分の体がこんな状態でもレッスンをしようとする先生の情熱に、頭が下がる思いでした。
レッスン室は、アパートの一室でしたが、およそ5匹の猫もいて、大人しくレッスンに耳を傾けていました。
先生は、とても熱心で一人がけのソファーに座りながら、かなり熱のこもったレッスンでした。
発声に40分、持参した歌唱曲を3曲見てもらい、合計約1時間半のレッスンでした。
日本では、通常50分〜1時間のレッスンなので、結構長めにレッスンをしてもらえたという印象でした。
発声は、一音一音丁寧に見つつ、私の長旅を労って、声帯の調子をよくよく観察してくれていました。
そのおかげで、オペラ曲を歌う際は、声帯に負担なく、歌える準備が整っていました。
オペラ曲3曲のうち、主に表現方法を重点的に指導されました。
日本でのレッスン以上に、細かな表現を指導してくれ、非常に勉強になりました。
表現方法の理解をさらに深めるために、色々質問をすると、それに対しても丁寧に答えてくれました。
二人目の先生が仰っていたことは、主に3つでした。
・声の出し方は、息に乗って素直に出ているので、このまま続けること
・表現方法は今回のレッスン内容を深掘りすることで、他の曲にも通ずる
・幅広く、いろんな曲に挑戦すること
自分の歌い方が間違っていないか疑問だったので、このまま続けるようにと言われ、一安心しました。
今回のレッスンで、改善すべき表現方法について、丁寧に教えてくれたので、その後録音内容を何度も繰り返し、聴いて取り入れました。
また、学内の課題曲やレッスン曲である程度、歌う曲に制限がかかっていたので、「幅広く、いろんな曲に挑戦すること」は、自分の可能性を広げる一つのきっかけになりました。
この先生の教えは、一回のレッスンである程度、”その時の私”に対して、一通り適切にまとめたものを提示してくれたので、それ以上に何かを吸収できるかというと、違うなと思いました。
ようやく出逢えた!この先生に習いたい!
三人目の先生も女性の先生でした。
二人目の先生の時と同じ楽曲を持参しましたが、なんと合計2時間20分の長丁場のレッスンとなりました。
発声に1時間、5分ほど休憩して、そのあとは1時間20分はみっちりオペラ曲を見てくれました。
二人目の先生の時も思いましたが、発声に時間をかけて重要視する点は、その当時日本で習っていた先生にはないことだったので、一音一音の向き合い方とその準備の重要性を改めて認識することになりました。
オペラ曲はモーツァルトの曲で、技術的になかなか思うように歌えなかった箇所を重点的に見てくれました。
すると、あんなに歌うことが辛かった箇所がいとも簡単にすんなりと歌えるようになりました。
まるで自分の声じゃないような気がしたくらいでした。
「喉に負担をかけずに、且つ何度歌っても崩れることがない」
本当に驚きのレッスンでした。
技術的な部分に留まらず、曲の解釈を含め、とても丁寧にレッスンしてくれました。
ニューヨーク滞在中は、ほぼ毎日のようにその先生の所に通い、コツを掴むようにしました。
何回も通うことで、レッスン料も良心的な価格にしてもらえたのも、私とっては好印象の先生でした。
期間いっぱい使って、発声法をできる限り覚え、教えてくれた表現方法や解釈等は私の固定観念を崩すものばかりで、日本の大学では学べないことが沢山ありました。
レッスンも終盤になり、先生に長期留学を検討している話をしました。
ただ、残念なことに、先生は3〜4ヶ月単位でアメリカとヨーロッパを行き来しているため、レッスンは短期なら可能だということでした。
結局、先生の生活と自分が目指す長期留学スタイルがマッチしないことが理由で、ニューヨークの留学話は一度持ち帰って考え直すことにしました。
しかし、この先生との出逢いは、私にとってとても大きく、ドイツで打ち砕かれた自尊心を再び取り戻すことができました。
日本に帰国してからも先生とは定期的にメールでやりとりをして、歌い方に悩んだりした時などはアドバイスをくれたりと、とてもいい関係が続きました。
その当時は、オンラインレッスンもなかったですが、約1週間のレッスンしか受けていないにも関わらず、とても親身になってくれた先生は本当に素晴らしい方でした。
留学初心者へ向けたポイント
下準備は入念に
留学準備はできる限り、入念にすることがお勧めです。
物理的な金銭問題もそうですが、「語学力、滞在先、食事、レッスン場所」など一つのレッスンにより集中するために少しでも不安を減らすことが重要です。
歌以外のことを、より良く整えれることで、「レッスンに集中」することができます。
先生選びは多種多様
今回のポイントの一つである”先生選び”ですが、今回はネットで見つけました。
もちろん、前回のドイツ留学のように「誰かの紹介」でもいいですし、日本の音大の講習会でもいいでしょう。
先生の人間性も、長くレッスンを受けることを希望するならば、とても大事ですし、海外の文化を学ぶこともあるでしょう。
ただ、依存してはいけないので、「音楽家の卵」として自分の課題や特徴をよりよく捉えて、自分軸で付き合っていく必要があります。
予備の日程を確保する
今回は、滞在中もっとレッスンを受けたい先生が見つかったので、足繁く通いました。
その分の日程も予め確保しておきました。
万が一、レッスンを受けたい先生が見つからなかったとしても、美術館や劇場はもちろん、食文化や公園、街を知ることに時間を使うことも、とても有意義です。
私の場合、セントラルパークで人を眺めたり、読書をしたり、もし自分が留学をしたらどんな感じかをイメージするようにしました。
夜はミュージカルやオペラを鑑賞しに行きたかったのですが、女性一人で夜を出歩くにはまだ抵抗があったので控えました。
日程はどんな使い方をしてもいいので、常に余裕をもったスケジューリングしていくことが「より成果を得るため」にも大事です。
言葉の壁は、留学前になるべく解決する
下準備にも関わることではありますが、「言葉の準備」は自分なりにでも進めることが非常に大事です。
ドイツでもアメリカでも思いましたが、何より大事なのが「自分の意見」です。
何を考え、何を伝え、何を疑問に感じているのか、簡単でも自分の言葉ではっきり伝えることで、受け身なレッスンにはならず、いろんなことを教えてもらえる結果となりました。
語学力は「専門的な音楽用語」だけでなく、不測な事態に備えて最低限のコミュニケーションは絶対的に必要です。
教えてもらう前提で行くのではなく、課題を相手に具体的に伝えることが前提
これがとても重要です。
語学力をつけると同時に、日本語でも同じように相手に説明するスキルを身につけることも大事です。
今回の場合は、大きなトラブルはありませんでしたが、先生が骨折されていたので医療系の言葉を結構言われました。
医療系の言葉は、自分の身に何かが起きた際にも意思疎通では大事なので、余裕があれば、簡単な言葉でも使えるようになっておくことがお勧めです。
ある程度の語学力があるならば、現地で困らないレベルに引き上げる特訓も必要です。無料の学習ページや格安のサービスだけ少し紹介します。(ただし、イギリス英語とアメリカ英語では発音がだいぶん異なりますが、日本人にはイギリス英語の方が個人的には聞き取りやすいと思います)
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